アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2016/08/16

「アメリカで育つ日本の子どもたち」レビュー(1)

中島先生の「バイリンガル教育の方法」は、以前、子供の心のケアという記事で取り上げたことがあった。
これさえあれば、他のバイリンガル教育本はいらないよ、と言われているのだけれど(たまこ調べ)、今回読んだ「アメリカで育つ日本の子どもたち」もとてもためになった。
自分が子どもとどう向き合っていくか、ということもとても考えさせられたので、一部シェアです。

アメリカにいる日本人の子どもを、「文化」「言語」「アイデンティティ」に分けて考察している。

1. 文化

二つの言語、文化の狭間にいる子どもたちは、どのようにアメリカに適応していくのか。
「文化間移動」の際、自分の認知面、行動面、情動面の3つにズレを感じる。
認知面: 授業の進め方が違う
行動面: 自分も同じように行動する
情動面: でも違和感を感じる
これが徐々に現地適応へと変化する過程には、「接触」「葛藤」「危機」「適応」という段階がある。
接触: 新しい文化に接触する
葛藤: 今まで自分の身に付けてきた行動や考え方が合わずに戸惑う
危機: 自分の行動や考え方に自信がなくなる
適応: 危機を上手に調整して着地
自分の子どもが今、どの段階にいて、どんな支援を必要としているかを把握しておく必要がある。
アメリカの学校へ通えば、だれもがバイリンガルになれるわけではない。
帰国後の子どもたちの様子を関係者に聞くと「自信のない子どもが多い」との回答が。英語でも日本語でも作文を書くことができない、という子どももいる。
悲観的になるのではなく、現状を理解し、どうやって回避するかを知っておく必要がある。

バイリンガル

  1. プロフィシェント・バイリンガル: どちらの言語も年齢に応じてよくできる
  2. パーシャル・バイリンガル: どちらか一つの言葉だけが年齢に応じたレベルかそれ以上によくできるが、もう一つの言葉はそこまで達していない
  3. リミテッド・バイリンガル: どちらの言葉もある程度は理解できるが、年齢に応じた発達をしていない
どちらの言語も年齢相応でないと、学習に支障をきたす。ひどいケースでは生活もままならなくなる。
こうならないためにも、親は両言語の発達を常時把握している必要がある。
英語に関しては、現地校で年に一度ないし数年に一度、国語としての英語テストが実施され、あまりにも結果が悪ければ、言語の問題である可能性をあぶりだすことができる。
日本語に関しては、これにあたるテストがない。
漢字の読み書きができる、本を読むことができる、というだけでは日本語ができるとは言えない。意味が分からずに読んでいる可能性もある。

日本語を伸ばすには

たとえば7歳で渡米、その後10歳までアメリカで過ごし、その間日本語を忘れないように家庭で頑張ったとする。子どもの日本語能力は7歳のまま。帰国時、実年齢と日本語能力は3学年遅れてしまう。
日本語力が2学年下までは、取り戻すことが可能と言われているが、3学年離れるともう手遅れである。

学校: 全日制/補習学校(日本語習う)
日本語学校: 土曜学校(日本語習う)
その他: 塾/家庭教師/小中高日本語クラス

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「言語」に続きます。

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