アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2016/08/05

ついに習い事を始めた - ピアノ -

5月から、息子をピアノレッスンに通わせている。
アメリカに来てからは、初めての習い事である。

日本ではピアニカに四苦八苦していたので、楽譜を読めると楽になるよね、と思って何かをさせたいとずっと思っていたんだけれど、フルタイムで働きながら、どこにその時間を入れるかと考えただけでクラクラしてしまい、二の足を踏んでいた。

アメリカに来たら、現地校で教える music というのは
「基本的に歌だけ」
と聞き、ますます危機感が募った。
5年生でいきなり「弦楽か吹奏楽か」の二択を迫られ、そこで楽器を持たされて初めて歌以外のことをやるのだそうである。
いきなり楽譜を読むって、あなた。

そんなわけで、さらに危機感を覚えた私は、ついに重い腰を上げることになった。
渡米をきっかけに習えるようになるとは思わなかったけれど。

先生はもちろん日本人である。
ただでさえピアノなんて本人はまったく興味ないのに、レッスンが英語だったりしたら、ますます嫌になってしまうに違いない。そもそも、私だって先生とじゅうぶんなコミュニケーションを取れないし。
友だちの伝手で存在は知っていたので、まず見学に行ったところ、先生は私が通っているヨガ教室で一緒にヨガをやっていた人だった。

目の前にヨガ友が立っていて、お互いビックリしてしまった。
狭すぎるよ、日本人コミュニティ。

おかげでヨガの帰りに一緒に教本を買いに行ってもらったりして、その間にいろいろ話ができてよかった。
まったくのビギナーということで、今回先生が選んでくださった教本は以下の通り。

Bastien Piano Basics - Primer Level
Bastien Piano Basics - Theory - Primer Level
PreTime Kids' Songs: Primer Level by Nancy Faber

面白いもので、アメリカでは音符を読む前に、指のポジションを決めてとりあえず両手を動かして弾いてみましょう、というところから始まっている。
Bastien Piano Basics
PreTime Kids's Songs
この方法だと、楽譜が読めなくても、指番号だけでそれなりに曲が弾けるので、出鼻をくじかれる心配があまりない。
息子もすぐに曲が弾けて、達成感もあって楽しそうだった。

対して、日本の教本は音符を読むところから始まる。
(帰国するなら買ってきて、と言われて日本で買った。)
新版 みんなのオルガン・ピアノの本1
みんなのオルガン・ピアノ
先生は、両方使えば両方のいいとこどり、というニュアンスのことをおっしゃっていたが、本当にそうだと思う。
指番号がないと弾けなくなるのは良くないし、かといって楽しく練習もしたい。
エチュードは大事なんだけど、特にたいていの子供なんて、そこから楽しみを見出すのはなかなか難しいから。

楽譜一つとっても、アプローチの仕方が違うのである。

先生おすすめのベルビューの楽器屋はこちら。
午前中に行くと、だいたいおじいちゃん店員なんだけれど、みんなとても気持ちよく対応してくれて、私もこのお店が好きです。楽譜もすぐに見つけ出してくれた。


***

6月に、現地校で music concert なる催しがあり、invitation が来たので見にいった。
学年末なので、集大成のような位置づけだったのだと思うけれど、これが本当に...ええと何というか...すごかったです。
予想の遥か斜め上をいっていたのだ。
お願い、私を置いていかないで。

何がどうすごいかというと、舞台が無法地帯となっていたんですね。
無法地帯。

整列できないし、きちんと立っていることもできないし、全体的にざわざわしているし、そんな中、ざわつきなどものともせず、音楽の先生が生徒の前に立って、いきなり指揮を始めるのだ。
伴奏なんてしゃれたものはなくて、アカペラである。
アカペラ。

もちろんみんな楽しそうに歌っているんだけど、長くなってくると、観ている方が「これをどうやって終わらせるんだろうか?」みたいな不安に駆られていくのである。
途中で歌詞がわからなくなって歌うのをやめちゃう子がいたり、よそ見したりし始めて、だんだん歌にずれが出てくるのである。
自然発生的に、半拍ずれた輪唱みたいなものに変化していくのだ。

けっこう熱心に練習したようだったし、こちらも楽しみにしていったんだけれど、これで自信満々に演じ切っちゃうポジティブさは本当に脱帽であった。
いいものを見ました。

***

昨年、息子が日本で小学校に入学したとき、2年生が「1年生を迎える会」というものを披露してくれた。
これは、本当に本当に、すごかった。
この、まだ人間になりきったかどうか怪しい1年生が、たったの1年でここまでのものを仕上げられるようになるのか、と驚愕したものである。

まず、代表の何人かが舞台に上がって、逆上がりとか縄跳びとかをナレーション付きで演じるのである。見事だった。
その後、2年生全員がびしっと舞台の前に階段状に並んで、一人一言ずつ
「一年生の皆さん」
「ご入学おめでとうございます」
(全員で)「おめでとうございます!」
みたいな語りを入れてくる。
台本を書いた先生も大変だったと思うけれど、順番を間違えずに2年生全員が一糸乱れずせりふを言うのである。どれほど練習したんだろうか。
あとは、全員で合奏をして(ほとんどがピアニカで、選ばれし生徒が鉄琴や木琴、小太鼓などを担当)、お開きだったと思う。

この夏帰ったときに「1年生を迎える会ってやったの?」と興味本位でママ友に聞いたら、
「一回練習を見学できる日があって見に行ったら、あまりの指導の怖さに背筋が凍った」
と言っていた。

「文化の差」という一言で片づけてしまっていいのだろうか、と深く考えさせられるエピソードではある。

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