アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2016/08/02

日本の小学校への体験入学で得られたこと

手続き編に引き続き、今回は、その内容について。

「英語を上達させるつもりなら、1年目は日本に帰らない方がいいって聞くけど...」
とママ友に(控えめに)諭されたんだが、私も息子も「夏休みに日本に帰るんだ」ということを目標にいろいろとがんばってきたので、そんなものはスルーして帰国した。
英語なんて時間をかければいつかそのうち、少なくとも息子はできるようになっちゃうんだから、それよりは日本にいる友だちに忘れられない程度に会っておかないと。

いやしかし、日本の教育は本当に熱心ですね。
勉強だけじゃなくて、食育から生活態度まで事細かに指導してくるわけで。

今回、日本に帰ったおかげで得たことの最大は
まとまった文章が書けるようになった
ということである。

1学期の後半に、たまたま、人に伝えるには、という授業があった。
書く前に、書きたいことを箇条書きにしてメモにまとめる。
それぞれの項目ごとに段落に分けて、文章として書き上げる、という過程を学んできたのだ。
これにより、息子の文章の精度が格段に上がった。
補習校で書いた日記と、日本の小学校で書いた日記を見比べると、これほど差が!とびっくりしてしまった。

これだけでも日本に来たかいがあったなーと思う。
勉強は積み重ねで、やれるときに畳みかけないとすぐに忘れてしまう。
週1の補習校だと、家庭で毎日1時間は学習しないとなかなか定着しない。
もちろんそんなにたくさん時間は取れない。
夏休みの体験入学超重要!と思った。

その他、図工や音楽(ピアニカ)、プール、生活科、学活など、日本ならではの授業も体験できて、本当によかった。
学校にプールがデフォルトで存在していることは、当たり前だと思っていたけれど世界的にはぜんぜん当たり前じゃない。
もともとは、海難事故がきっかけで、学校教育で水泳の授業が始まったらしいのだが、ここまで浸透しているのはやはり、素晴らしいと思った。
スイミングレッスンなんて通わなくても、小学校6年間学校のプールだけでそれなりに泳げるようになるんだから。

それから給食。
毎日毎日残さずにぺろりと食べてきて、栄養価も問題ないし、安いし、親も楽だし、こんなに素晴らしい制度ない。「食べ物を残すのは罪」みたいな行き過ぎた点も見られないでもないけれど、アメリカみたいに一口食べてまずかったら全部ゴミ箱にペッと捨ててしまうのもやっぱりどうかと思う。

あとは、何より息子が毎日楽しそうにしているのが良かった。
来年は、補習校も6月は休校願いだしてとっとと帰国しちゃおうかと思ったくらいだ。

他にびっくりしたのは、朝会である。
私も経てきたとはいえ、びっくりした。
まず、全校生徒が体育館に集合して、学年ごと、クラスごとにざざーっと並ぶわけです。
そして、舞台に先生が立つと、どこからともなく号令がかかるのだ。

「挨拶係」なる生徒がいて、「校長先生に礼!」とかハキハキ言うんですね。
そうすると、全員が静まって礼をしたり、直立したり、休んだりする。
これ、アメリカ人が見たらびっくりするよなー、と思った。
現地校で生徒がピシッとまとまっているのを見たことがない。
軍隊教育と言われても、まあ、おかしくないかもな...

日本人はあいさつ好きなわりには、アメリカ人みたいに気軽に "Hello, how are you?" みたいに声かけあう文化がない。
まあ、これも文化なんだよな。

***

アメリカの教育に関心を寄せるママ友(だんなさんはアメリカ人)とランチに行ったのだけれど、その時に
「アメリカの教育ってどうなの?今、うちの子アメリカンスクールに通っているんだけど、英語は全然伸びてこないし、授業も適当だし、心配」
みたいなことを聞かれた。
まず、ELL の Facilitator には

  • 会話がネイティブ並みに遜色なくなってくるまで3年
  • 読み書きがそのレベルに来るには5年

(平均値)
と聞いているので、そもそも日本にいて、アメリカンスクールで1年やったくらいでネイティブ並みにはたぶん、ならない。
それから、アメリカの教育は永遠の「ゆとり教育」だと伝えた。
全校生徒、どの学年も5時間目(?)までしかないし。
教科書もないし、基本的に算数と国語(英語)しかない。

永遠のゆとり教育であるにもかかわらず、数々の天才を輩出してきているのは、いったいどういうマジックがあるのかと本当に不思議である。

3 件のコメント:

  1. 日本には日本独自のいい教育がありますね!
    見ていると、良い先生は頑張りすぎている感じがしてかわいそうに
    なってしまいますが・・・。アメリカは、先生は教える、生活面は
    カウンセラー、としっかり仕事をわけているような気がします。
    先生の負担が少ないのはいいけれど、どこまで生徒の気持ちの
    部分で寄り添ってくれてるのかな、と思うこともあります。

    どちらがいいかというと、きっと各家庭の教育方針と、お子さんが
    どちらがあっているのか、あとはアメリカでどの地域なのか、
    ハーフなのか両親とも日本人なのか、とか色んな事で感じ方が
    変わるのかもしれませんね。

    私はハワイの教育は遅れていると思っていたので、今回の記事は
    結構驚きでした。子供がキンダーに入って以来、「アメリカって
    もっと勉強しないと思ってたのに、こんなにやるの?!」
    「この年齢でこんな問題解けるわけない!」
    「なんで掛け算九九をやらずに文章題の掛け算割り算をやるの!」
    と、かなり衝撃的でした。笑  
    アメリカがゆとり教育という印象は・・・もうなくなりました。
    2年生だった去年は、リーディングが難しくなって、新聞記事を
    読んで内容把握していましたが、その設問がトリッキーすぎて
    どの選択肢も正解なんじゃないの?っていう感じだったし、
    算数にしても、とにかく挿絵のない文章問題をたくさん。
    それが掛け算割り算を混ぜ込んでくるから、やっぱり読解力がないと
    解けないんですよね。同時進行で、大使館からもらった教科書で
    教えてましたが、算数は簡単すぎるので教えるのやめちゃいました。

    息子の学校は給食も熱心にやってくれるので、朝食もランチもだいぶ
    栄養面を気にしてくれているし、スナックもフルーツや野菜にするよう
    言われ、お誕生会でもカップケーキは禁止です。アメリカもだいぶ
    変わったんだなぁという印象です。
    サイエンスもキンダーから簡単な実験もしていたようですし、
    音楽に力を入れていて、うちの学校のオーケストラに入りたいから越境
    してくる子もいます。スイミングは学校ではやらないですが、夏休み中に
    朝から昼過ぎまで預かってくれて、2か月で100ドルもしないプログラムが併設
    されているので、そこで水泳のレッスンをしてくれます。
    これがないと仕事に行けないので、格安で見てくれるのは本当に
    ありがたいです。教育学部の学生たちをリーダーにして、これまで
    ずっとプログラムに参加していた高学年の子たちをジュニアリーダー
    にするので、公立でこういう値段でできるんでしょうね。遠足にも
    連れていってくれて、その値段。

    いじめなどの問題でもすぐにカウンセラーと校長先生が対処してくれましたし、
    総合的に私はこちらの方があってるのかな、という気がします。

    今日ちょうど読んだ記事で、日本語が母国語で英語の読み書きを不得意に
    させないには、日本語の読み書きをしっかりやっておくことがすごく大事と
    書いてあったんですが、確かに私が早目に日本語の読み書きをさせていた
    からか、息子は英語がほんとど話せないのに読むのだけは他の子より
    出来ていたという不思議なことがありました。結局ELLも3年間で終わりました。
    日本語教育をしっかりやっていて、失敗したんじゃないか、かわいそうなことを
    してしまったんじゃないかってずっと思っていましたが、日本語力をつけておくって
    絶対プラスですよね。可能な限り、日本の学校に体験入学させてもらうのは、
    最終的にどこに住むにしても、いい経験になりますね!

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    1. みーさん、

      いつもありがとうございます。
      コメントを拝読して、「!」と気づきました。

      アメリカは、日本よりも地域差や先生の差が大きいと思います(たぶん)。
      州の中でも違うし、同じ教育区の中でも学校ごと、クラスごとでも差異が大きい。
      ハワイは熱心なんですね。
      というより、みーさんのお子さんが通っている学校が特に熱心なのかしら。

      息子が1年生だからなのか何なのか...でも、上の学年の子に聞いても、「3年生でアナログ時計の読み方の復習したよ」とか聞いたし、実際、5年生の女の子本人に聞いてみても「Essayは辛かったけど、それ以外は大したことなかった」と言っていました。
      一応、ベルビューの中では良い学校と言われているらしいのですが、どの辺がいったい良い学校なのかがさっぱり見えませんでした(笑)
      でも、学校差に関して、今回の記事は思慮に欠けていたかもしれません。
      「永遠のゆとり教育」なんて、失礼しました。

      母国語を伸ばす、というのは、外国語教育では基本のようで、どの先生も口を酸っぱくして「英語よりも母国語」と言っていました。
      おそらく、言語の回路ができるんでしょうね。
      たとえば、"culture" という抽象的な単語を理解できるためには、日本語で「文化」を概念として知っているかどうかがとても大きいと聞いて、なるほどなー、と感心したことがあります。
      だから、みーさんがやってきたことは、全然失敗じゃないです!
      むしろ、日本語での読み書きに力を入れてきた先見性が素晴らしいと思います。

      よろしければ、またハワイ情報を教えてくださいませ。

      たまこ拝

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  2. いやいや、もしかしたらそもそも私が学校に求めるハードルが低いか、
    Common coreというプログラムは私が受けてきた教育とも、
    アメリカ人の主人が受けてきたものとも、かけ離れ過ぎていて
    ついていくのが大変だから、こう感じるだけかもしれません。
    そもそもハワイの教育のレベルの低さは有名ですから
    ベルビューよりいいなんて絶対ない!!笑
    アメリカになれた、というのが一番大きいかもしれませんね。
    キンダーの時は学校に不満だらけだったかも。

    アナログ時計が読めない子は最近アメリカでは多いらしいですね。
    学校でも重要視されていないみたいです。
    それを聞いて必死に教えたんだけど、デジタルが周りに多いもんで
    なかなか覚えなかったです。今も怪しい!学校では本当にさらっと
    やっただけでした。エッセイが大変だったというので、やはり
    いかに自分の意見をしっかり持ち、表現するかということに重点を
    置かれた教育になっているんですね。そういえばアメリカの高校に
    通っていた時、数学の文章題で先生が「途中の考え方を見たいから、
    式をしっかり書いてくれれば、計算の答えが間違っていても点数は
    あげる」と言っていたし、ものすごいごっつい計算機で(sin, cos, tan`
    とかもできるやつ)すっごい簡単な計算やってて、テストもそれで
    オッケーで、その電卓の使い方すらわかんない私は当然自分で計算
    するんだけど、皆より早いし間違ってもいなかったので、本当にこの人たち・・・・
    大丈夫なの?!と思ったことがありました。何に重きをおいているかは
    全然日本と違いますね。

    いつも色々コメントしてすみません!!

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