校長が(確か)昔、中国で働いていたことがあるせいか、非ネイティブへの関心が高い気がする。単純に寄付金への理解を求める目的なのかもしれないけど。
(アジア系は「寄付」という考え方になじみがないので、傾向として、財布のひもが硬いと思われる。)
今回は、テーマがELLだったので、息子の進捗状況も確かめたくて参加してきた。
スライドに、興味深い内容がいくつかあったので、シェアします。
- 第2言語習得の都市伝説
Q. 小学生は2~4年くらいで新しい言語を習得できる?
A. いいえ。平均で5~7年かかります。
Q. 両親が家でできるだけ英語で話すようにすると、子供は早く英語を習得できる?
A. いいえ。母国語が(学習言語としての)英語習得を助けます。
Q. (非英語圏の家庭でも)アメリカで生まれた子の方が、学校生活を優位に送ることができる?
A. いいえ。8~11歳でELLに入った生徒が、英語の獲得は一番早いです。 - ELLスタート時の年齢別習熟度
8~11歳で始めた子が一番早い。(2~5年)
12~15歳で始めた子が一番遅い。(6~8年)
8歳未満のどこかで学校に入った子はその中間。(4~6年) - 各言語能力の獲得年数グラフ
リスニングが一番早く、次いでスピーキング、リーディング、最後にライティング能力が追い付く。
※WELPA = Washington English Language Proficient Assessment
ワシントン州の英語能力評価テストで、この結果次第でELLを受ける資格を得られる。 - 母国語の重要性
母国語がしっかりしていればいるほど、他言語を習得しやすい。
とにかく、どんな言語でもいいからたくさん読むこと!
母国語で、アカデミックな活動をたくさん行うこと。一緒に話し合ったり、込み入った質問をしてみたり、新しい単語について一緒に話し合うなど。
宿題も、家で母国語で説明してあげると、学校の授業での手助けになる。
サイエンスの授業内容も、母国語で似たような単元の動画をYoutubeなどで観させると良い。
楽しいアクティビティ(スポーツやアートと言った習い事)であれば、英語を話す環境に入れてみても良い。 - バイリンガル生徒は不利なのか?
最初の数年は、他の生徒よりも確かに後れを取る。
しかし、たいていは、1言語しか話せない生徒をしのぐようになる。
特に真新しい内容はなかったんだけど、今は耐える時期だ、息子だけじゃないんだ、と何となく励みになった。
あと2年、がんばろう。そうすれば、たぶん、会話は何とかなってくるに違いない。
ちなみに、補習校で高校まで通っていらっしゃる生徒は、みんな現地校でも優秀だそうです。
彼らはそれこそ、プロフィシエント・バイリンガル(日英両言語とも、年齢相応以上の能力がある)と言えるんじゃないか。
(高校に進学しなかった生徒が劣っているという意味ではありません。いろいろ事情があって去られたんだろうから。)***
先日、補習校でクラス保護者の親睦会をしてきた。
お互いの悩みを何となく話し合う場となり、「宿題の日記が辛くてねぇ...」という話題で盛り上がる一方、子供の日本語への関心が薄れてきていることを悩んでいる保護者も少なくなかった。
うちは何とか日本語をしゃべっています、という方もいれば、最近日本語をしゃべるのが恥ずかしいのか、こっちが日本語で話しかけても、ほぼ英語で返ってくる。補習校以外では日本語をしゃべっていないと思う、という方もいた。あまり「日本語!」と言いすぎても反発されてしまうし、その辺のさじ加減も難しいのだそうだ。
余談だけど、学校で宿題として出される「音読」は、実はとても大事だということを体感している。
日本語が弱くなってくると、日常会話に問題がなくても、読ませると音節の区切りがおかしくなったり、イントネーションも不自然となり、そもそも日本語を読みたがらなくなるようだ。
親がサインを見逃さないためにも、音読は面倒でもさせた方がいいようだ。
バイリンガルの道は険しい。
とくに、子供は「今を生きる」人間だから、将来バイリンガルの方が選択肢が広がっていいよ、みたいな現実的な話をしても、何それ食えるの?おいしいの?状態だよね。
子供の日本語のことで悩まれているのは、傾向として、親のどちらかがアメリカ人(非日本語話者)の場合が多い気がした。ハーフだから子供の日本語が弱いというより、子供が自分と同じ日本語をしゃべってほしい、という希望が高いんじゃないかという印象だった。
私が懇意にしていただいている国際結婚家庭では、兄弟で英語をしゃべることを禁止していると言っていた。習い事も、なるべく日本人の先生について日本語でレッスンを受けるなどしているそうだ。
おもしろい。でも、わかる気がする。
逆に純粋な日本人家庭でも、長期滞在している駐在家庭の方が、日本語へのこだわりが低いような気がしないでもなかった。どうせ日本に帰るから、英語を大事にしたい、ということなのかもしれない。
何となくわかる。
あとは子どもの性格なんかもあって、現地校でも友だちが日本語に関心を持ってくれて、日本語でしゃべることに優越感を感じられるようなシチュエーションに恵まれた子は、日本語を積極的にがんばってくれることもある。現地校の先生が、何かトラブルの時に通訳としてその子を呼んだりすれば、その子の自己肯定感もかなり高まることだろう(実際、そういう子も何人か知っている)。
親の期待としては、究極のプロフィシエント・バイリンガルなわけだけど、うちの息子がそこまでがんばってくれるかどうかは性格的に難しいかもしれないなーと思っている。
短期的には、学校生活をもう少し楽に過ごせるようにするためにも、何とか英語を、と思うんだけど、そこで日本語も一緒に伸ばしていくとなると、子供のキャパの問題もあるし、本当に悩ましい。
途中で日本語をあきらめていく子供も、学年が上がるにつれて増えていくと思うけれど、積極的に「もっとがんばりなよー」とは言えない。
3月になると、補習校をやめるかやめないか、毎年親子で話し合うというご家庭もある。
どんな決断をしたにせよ、日本語がつらい思い出にならないといいな、と切に思う。
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