アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2016/10/14

補習校の個人面談 - 2年目 -

10月に入り、面談の季節になった。
現地校も補習校も、保護者面談が予定されている。

補習校の面談をつい先日してきた。

テストの結果などから勘案して、おそらくこれは日本語力がうまく伸びていないせいだろうなぁと勝手に考えて臨んだ面談だったのだが、先生と話していたら、

「息子さんは順調に学力を伸ばしていますよ」

とのことで、逆に拍子抜けしてしまった。

やはり、短期間でも夏休み中の体験入学がかなり効いているんじゃないかと思った次第である。

私の息子への評価はかなり低い。
まず、状況を説明するのが下手くそである。
Youtube 大好きなので、難しい単語は良く知っているんだけど、ふつうに7歳として知っていてほしいレベルの語彙が全然足りていない気がする。
算数の文章題が不得意だし、国語も初めて見る文章でのテストはあまり芳しくない。

ところが、面談の時に先生が見せてくれたのは、「学力テスト」と銘打った国語のテストで、100点だった。
いつの間にこんなに国語力を伸ばしてきたのか...

昨年の面談は散々だった。
学力テストは半分くらいしか回答できていなかった。
だから、算数の文章題もぜんぜんできない。
「うーん、この間日本から来たばかりですので、一番日本語ができていないといけないんですけど...」
とさえ言われていたのだ。

息子にとっては、アメリカでの生活が逆によかったのかもしれないなーと思うこともある。
彼にとって日本語は生命線である。

現地校では英語ができなくて悔しい思いを何度もしてきた。
だから、補習校での友だちはすごく大事にする。
日本語でストレスなく自分の意見を言えることが、彼にとってもとても大事だと意識があるのだろう。

それから、補習校の図書室は保護者にも開放していることも大きいと思う。
日本の小学校でも図書室の整理ボランティアをしたことはあったけれど、保護者にも貸し出しカードを作ってくれるわけではなかったので、子供が借りてくる本は本人に任せていた。
今は、私は朝のドロップオフの後、そのまま図書室に寄って、自分の本と子供の本を毎週数冊借りてきている。
アメリカで日本語の本は手に入りにくいので、補習校の図書室は本当にありがたい。
それこそ、日本語を活字で読める幸せをかみしめながら読んでいる。

息子が本を熱心に読むようになったのも、アメリカに来てからである。

読む本はもっぱら「怪傑ゾロリ」シリーズやそれに準ずる軽い話ばかりだけれど、本当に楽しそうに読んでいる。
寝る前15分は読書の時間、と本人が決めて、毎日読書している。

それから、ゾロリを読んでいて息子が影響を受けたのはダジャレである。
ダジャレってずーっとばかにしていたけれど、あれはけっこう日本語力が問われる技術だと気づかされた。
語彙力がないと、まずできない。
ゾロリを読みだしてから、息子はダジャレを日々考案している。

ずいぶん前にみたテレビで、マーティ・フリードマン(メガデスの元ギタリストで、日本語大好き)が、日本語を覚え始めた時にダジャレが素晴らしいと思ったと言っていたんだけど、当時はその意味がよくわからなかった。
でも今はわかる。
ダジャレは日本語が50音しかないことと、それゆえ同音異義語が多いという特徴があるからこそ成り立つ言葉遊びなのだ。これ以上に語彙を増やす楽しい遊びはないだろう(私はやらないけど)。

もちろん、日本にいる方が濃い日本語接触があるので、アメリカにいる方がいいということは決してないんだけど、アメリカにいると日本語が通じる有難さが身に染みるというメリットもあるのではないだろうか。
親にとっても、補習校にいるとホッとするし。

ママ友の一人が
「アメリカの現地校に3年いたら、日常会話は問題なくなるらしいよ。今まで一人も例外はないって聞いた」
と教えてくれた(幼少期に渡米した場合)。
確かに、周りにいる3年以上在米のお友だちは、むしろ英語の方が楽なようである。
兄弟では英語で話しているし、日本人同士で遊んでいても、英語で遊んでいるのを何度も見かけた。
いつか、息子もそういう日が来るかもしれない。
(今はまったく想像できないけれど。)
だから、今は日本語を大切にしてくれたら、それでいいかなと思っている。
英語ができなくて、いろいろと辛いこともあるけれど。

***

算数の担任と面談したときに言われた。
「もうちょっと落ち着いて問題を読んで解答すれば、100点取れる実力はあるんです」

裏を返せば、問題を読み飛ばして適当に解釈してちゃちゃっと解答しているということだ。

「こういう言い方をしますと、性差別と取られてしまうかもしれないんですが、傾向として、男のお子さんは『早く終わらせたい』という意識が強いようで、息子さんだけじゃなくて、複数の男のお子さんに同じような傾向が見られます」

私はずーーーーっと、息子の日本語力に問題があるんだと思っていたんだけれど、そうじゃなかったみたいだ。
これは、アプローチの仕方を変えなくてはいけない。
そうか、私は男の子を育てているのだ。
やつらは人間ではないのだ。人間の形をしているけれど、生態はカブトムシと変わらないのだ。

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