ああ、これでもう水筒は出てこないだろうな、とあきらめていたら、ちゃんと出てきた。
放課後、学校で遊ばせて帰ってきたら、水筒が入っていなかった。
その日は日差しが暑くて水筒の麦茶を飲み干してしまうくらいだったので、確かにその時点では水筒はあったはずだった。カバンをひっくり返して、車の中も見たけれど、やっぱり水筒がなかった。
気づいたのは家に帰ってきてから2時間後。放課後はほとんど人なんて来ないからあるだろう、と思って学校まで見に行ったら、なんだかワイワイガヤガヤ聞こえてくる。
見たら、ちびっこの野球大会をやっていた。夜の6時台に子供たちが。
早めに夕飯を済ませてからくるんだろうか。
確かにこの時期はすでに日が長いので、8時くらいまでわりと明るい。
だけど。
なぜこの日に限って。
水筒取られてしまったかもしれない...とがっかりしながら、息子が遊んでいた辺りを探したけれど、やっぱり見当たらなかった。
万事休す。
アメリカに売っている水筒は、首から下げるようなショルダーがついていない。同じサーモスのはずなのに、なぜか漏れてきたり、保冷もイマイチ。
だから、わざわざ昨年の夏、日本で買ってきたものなのだ。
息子には、
「出したら元あったところに必ずしまうこと」
とガミガミ言ってしまった。
私はどうも、人為的に物がなくなるとか壊れるとかがものすごく嫌いみたいである。
失くされると毎回ものすごく頭に来て、どうしてもガミガミ言ってしまう。
翌日、学校が終わって帰ってきた息子が言った。
「お母さん、ニュース!」
「同じクラスのジョシュ(仮名)が、オレの水筒拾ってくれた」
「昨日、グラウンドで野球やってたってお母さん言ってたでしょ?」
「あれにジョシュも行ってたんだって」
「それで、水筒見つけてくれて『あ、息子くんのだ』って気づいて」
「(鍵が閉まっているから)教室の前に置いておいてくれたんだって」
「朝、水筒の場所教えてくれた」
ジョシュー!!!
なんて気の利く子なんだろう!
ジョシュは、9月最初から息子と仲良くしてくれた、ものすごくかわいい男の子である。
でも、こういう気の利いたことがとっさにできるのは、才能だよね。うちの息子がそんなことができるとは到底思えない。たぶん、その場に放置して「あそこにあったの見たよ」と報告するのが関の山である。
というわけで、息子の水筒は無事生還した。
***
だんなさんにその話をしたところ、ジョシュが素晴らしいという感想とともに
「ここはアメリカじゃないよな」
と言った。
失くしたものが、姿を変えずにそっくりそのまま出てくるなんて、ありえない、ということだった。
とは言え、息子のジャケットとかいろいろ失くしたものもあるけれど(泣)、治安が良くて人もいいというのは、住んでいて気持ちのいいことだよね。
...だから、お家賃もそれなりなんだろうけど。
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