アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2017/03/24

英語がわかっても、理解できないこと

ふと思い立って、松澤喜好先生の「英語耳」から、英語の歌を死ぬほど聞くというメソッド (Parrot's Law) を試している。
正直、「英語耳?は?だっせー」と偉そうに鼻にもかけていなかったんだけど、運転中とか隙間時間とか、テキストなくても学習できるという点で「まあ、これで英語力上がらなくても別にいいか」くらいの気持ちで始めた。

松澤先生が推奨しているのは、カーペンターズの "Top of the World" とか "Close to You" とからしいんだけど(テキスト持っていないからわからない)、どうもカーペンターズは苦手である。

もちろん、推奨理由は「発音に癖がない」「クリアで聞き取りやすい」なので、英語学習としては最適なんだと思うけれど、カーペンターズはちょうど私の父が好きで(団塊世代なもので)、日曜日になるとLPで繰り返し繰り返しかけられていて、私にとっては「日曜日のけだるい歌」という印象しかなくなってしまった。
そして、アラフォー(というかすでにアラフィフに片足突っ込んでいる)の私には苦痛でしかない歌詞である。 "Top of the World" とか、体がかゆくならないですか?私だけですか?

それから、Youtubeで動画とか見ちゃうと、やっぱりカレンが痛々しくて、本当に辛い。
歌声は本当に素敵だと思うけど、だからこそ余計辛いというか...そして、その体で "Top of the World" って。しつこいですか。すみません。

それで、何百回聞いても飽きもせず楽しく聞き続けられる歌って何だろうって思ったときに、ふらふらっと見たのがビートルズのレディ・マドンナだった。
発音が、とか、聞きやすい、とかを超えて、これなら2分くらいで短いし、何しろ何回聞いても楽しい。

というわけで、毎日毎日信じられないくらいこの曲を聞いているんだけど、この曲の歌詞って知っていました?
まず、"Lady Madonna" はイギリス労働者階級の一般女性?もしかしたら娼婦?のようである。それを "Lady Madonna" と呼ぶことによって皮肉っているのか、苦労している低所得層の女性を敬ったのか。
内容も「明日のお金にも困っているのに、どうやってこんなにたくさんの子供を養っていくんだろう?」ということを延々と歌っている。こんなにポップな歌なのに!

聞けば聞くほど切なくなるよねぇ...

調べたところ、この "Lady Madonna" の歌詞はマザーグースの一節を借用しているらしかった。
Monday's child is fair of face,
Tuesday's child is full of grace,
Wednesday's child is full of woe,
Thursday's child has far to go,
Friday's child is loving and giving,
Saturday's child works hard for a living,
But the child who is born on the Sabbath day
Is bonnie and blithe and good and gay.
"Monday's Child" と言って、子供が曜日を覚える時につかったりする歌のようだ。
"Lady Madonna" にも1週間の曜日が出てくる(なぜか土曜日だけない)。
そしてもう一つ。
Three blind mice. Three blind mice.
See how they run. See how they run.
They all ran after the farmer's wife,
Who cut off their tails with a carving knife,
Did you ever see such a sight in your life,
As three blind mice.

"Three Blind Mice" (三匹の盲目のねずみ)という歌で、英語圏ではわりとポピュラーな歌らしい。
"Lady Madonna" の中で、"See how they run"はリフレインする部分なんだけど、"run"の意味が多岐にわたるので、日本語では「どうやって養っていくの」という感じに訳されることが多い。でも、おそらくいろんな含みを持たせているんだろう。簡単には翻訳できない。

この "Lady Madonna" という短い楽曲の中には、どうやらいろいろな仕掛けがあるようだ。そして、それは聞く人が聞いたらすぐに「あー、マザーグースだね」と心にピンとくるんだと思う。
文化の違う私たち日本人には、やはり根底の部分でなかなか理解が難しいらしいことだけは何となくわかったのであった。

***

先日の息子の英語力記事に貼った川合典子さんのブログに書いてあったんだけど、言語ってやっぱり文化なんだなー、と歌詞を見ながらすごく感じた。
たとえば、「津軽海峡冬景色」とか「関白宣言」とか、あんなの日本人じゃないとよくわからないと思うんだよね。
他にも、auのCMに金太郎と桃太郎と浦島太郎が出てくるシリーズがあるじゃないですか。あれだって、日本の昔話をみんな知っている前提だからおもしろいわけで、その前提がわからなかったら面白さがすべて伝わらない。
ドラえもんや妖怪ウォッチなんかも、意外とダジャレと引っ掛けているので、ある程度文化知識がないと意味が分からないことがある。
日本語はわかるけど、全然わからない。
それは辛い。

息子が日本語を忘れる忘れない問題も心配ではあるけれど、日本人として当然知っているべき文化背景が抜け落ちてしまったら、彼は日本で暮らすのは難しくなってしまうんだろうなぁ。

2 件のコメント:

  1. たまこ様
    今回のトピック結構同感です!!!
    確かに、文化的背景の知識が無いと理解出来ないことが沢山!

    私は、アメリカンジョークが全ッ然理解できない、、、ってか、笑いのツボがそもそも違うので理解しようという努力もしておりませんが、全く面白くないと思うのと同じような気がします。
    それは、映画とかにも言えることで、アメ人がドッカンドッカン笑ってるのに、何がそこまで面白いのかが全くもって意味不明。。。
    そりゃ、チョットは面白いこともありますが、ガハハと笑うほどでもないと言いますか。
    なので、文化的な背景ってすごく関わってる気がします。歌詞でも、映画でも。。。
    私が、毎回アメリカに住んでみて強く思うことは、ユダヤ人に対しての思いでしょうか。
    例えば、ユダヤ人迫害やホロコーストの本などを読んでも、事実若しくは史実として受け入れることはできても、イマイチ深くまでピンと来ないのは、戦争を知らないせいも有るのかもしれないけれど、アメ人ほど彼らに対しての何か強い文化的な背景の思いとか、宗教的な絡みとかがないからだと思うんですよね。(あくまでも私は・・・の話ですが)
    だから、本をいくら読んでも、授業とかで先生に熱く語られても、いつも「で?!」って感じになってしまうというか。。。まさに、英語が分かっても理解出来ない状態にいつも陥ります。
    でも、アメ人の(特にESLの)先生って、ユダヤ人を題材にしたものを扱うのが好きな気がします。それだけ、知っておかなくちゃいけないことなのかもしれませんが、この国に住む場合。

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    1. renkonさん、

      いつもありがとうございます^^

      笑いのツボが違うっていうのはわかります!
      そもそも彼らは何でも大げさだっていうのはあるにしても、そこまで?!ていうのはありますよねー。
      文化の違いであまり懐に入れないっていうのは、言葉の壁以上かもしれないですね。
      こちらに来てから、中国や韓国の人とは同じ匂いを感じます。

      ユダヤ人に関しては、私はそこまでアメリカ人とお付き合いがないので感じたことはないのですが、よく話題に出たりするんですか?
      その辺はまたお伺いしたいところです!

      たまこ拝

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