アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2016/02/02

海外生活でコミュニティを築いていくこと

渡米して、気づいたら半年が過ぎていた。
最初は何もかもうまくいかなくて、洗濯物をたたみながら何度泣いたかわからないくらいだったけれど、今は英語が通じないことにもあまり抵抗がなくなってきて、ある意味海外生活に慣れてきたと言っていいんだと思う。たぶん。

それで、何となく慣れてきた最近の一番の悩みは、コミュニティが狭すぎることである。

同じアパートに、ちょっと仲良くなった韓国人家族がいるんだけど、ママはボストンに留学経験があって、英語もそんなに不自由ではない(ようにみえる)。でも、彼女にはまだ2歳の男の子がいて、なかなか外に出ることができないのが悩みだと言っていた。だから結局、そんな彼女でも、2年生のお姉ちゃんと同い年の韓国人女の子家族と話をするのが関の山で、2歳の子と一緒に遊べるくらいのお友だちがほしいと言っていた。

人間のコミュニケーションにおいて、言語ってやっぱりかなり大きな比重を占めていると思う。これは痛感している。自分が思ったことを何も考えずに言語化できる、日本人コミュニティには、本当に救われる。
だから、「海外で現地の人とろくにコミュニケーションも取らずに日本人同士でばかり行動して」と批判がましく言われることがあるけれど、そんなものクソくらえである。

ただ、ここでは日本人はマイノリティであり、その少ない日本人同士で一緒にいると、たまに「もっと幅がほしいな」と思うことがある。もちろん、とても幸運なことに、みなさんとてもいい方ばかりだ。そこに不満はない。ただ、「同じ小学校に子供が通っているママたち」という一つのカテゴリとしかほとんど繋がりがないのが危ういなと思うことがある。
だれだって、いろんな側面があって、1人の人格じゃないですか?

こんなことを考えるようになったのにはきっかけがある。

息子がここのところ、3, 4歳年上の子と小競り合って、もちろんかなうわけがないので最後に泣かされる、ということが続いたのだ。
日本にいれば、そんな年上の子と遊ぶ機会なんて滅多にないし、あったとしてもそこには自分と同い年くらいの子が他に何人か含まれるんだと思うんだけど、ここではそんなに都合よく同い年の気の合う子なんていない。だから、あまりこの子とは気が合わないかも、と思ったとしても、じゃあ別の子と遊ぼう、みたいな選択肢がない。

その年上の子が、自分が失敗したにもかかわらず、「ぜんぶお前のせいだ、お前サイテーサイアク、もう遊んでやらない」とか言ってきたら(10歳前後の男子ってこんな感じなんですか?)、6歳の息子には理解不能である。相手の子も、6歳の子なんかと本当はそんなに遊びたくないんだろうし、いろいろイライラしているんだろう。

子供の中にも、何かモヤッとしたものがあるんじゃないかと思う。そのイライラは、小さい子、弱い子へ向かってしまう。大人だってそうだ。自分がイライラしたら、気づいたら自分の子供に当たり散らしちゃうことがある。

もちろん、子どもたちは何とか英語の波の中をサバイヴして、そのうち「英語」という最強ツールを身に付けていくことによって、友だちの選択肢が増えていくんだろうから、長い目で見れば今だけのことと割り切ることができるかもしれない。あるいは数年で日本に帰るからそれまでのがまんだと辛抱できるかもしれない。

それでも、「今」しか生きられない子供にとっては、負担が大きいと思う。

***

私の大好きな Hiroyuki Takenaga さんのブログから、2つほど記事を。

同じマイノリティでも、国を超えて「スペイン語」でつながっているラティーノの一体感が強いという話。言語でのつながりは強い、と言うのはよくわかる。もし韓国や中国の人と共通言語があったら、仲良くやれそうな気がする。
子供たちの半分の「血」の扱い方 - nynuts
同じマイノリティのグループとして、ラティーノとアジア系って比べられるんだけど、グループとしての一体感で言ったら、ラティーノのほうが圧倒してるからね。比べ物にならない。やっぱ「スペイン語」という共通項がデカいよね。その点、アジア系は結局はまとまらないの。言葉違うからさ。
老人になったら同じ国出身の人同士で仲良くしていて何が悪い、という話。本当ですよね。
海外日本人が日本人コミュニティの中で老いていくのは悪なのか - nynuts
NYのような人種・民族ミックスの街では、年を取ると共に老人たちが己のルーツに回帰する様をよく目にします。老体に鞭打って自分とは違う人種・民族に体当たりするんじゃなくて、文化や価値観を共有する仲間たちのもとに返っていくわけです。

2 件のコメント:

  1. 初コメントさせてもらいます。ツイッターでは何度か絡ませてもらいましたrikkoroponです。在米1年半以上経過しましたが、記事にとても共感しました。

    日本人のコミュニティにとても救われているのも事実なのですが、どうしても別のチャネルが必要な時もありますよね。息子を連れて単独行動する時間を作らねばと思っています。同じように感じている方がいて、正直ほっとしました。

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  2. rikkoroponさん、
    コメントありがとうございます!
    お子さん小さい上に海外生活で、本当に大変だと思います。
    先輩に向かっておこがましいですが、愚痴こぼしたいときはぜひ活用してください(笑)

    > どうしても別のチャネルが必要な時もありますよね。
    そうそう、別のチャネル!
    私はESLに通いだして、そっちで友だちができた時に少し自由になった感じがしたんですね。
    半年もたったし、そろそろ息子も習い事でも始めて、別の友だちを作ってあげたいなと思ったりしています。こういうことも、海外にいると意識的にやっていかないといけないんですよね。

    たまこ拝

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