アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2019/10/21

妊娠中の現地校職員の柔軟な働き方

担任からのニュースレターで、図書室の司書の先生が産休に入ります、とあった。
11月から1月までの3ヶ月間である。短い。

アメリカの産休制度

アメリカには「産休」と呼ばれるものはない。民間企業独自の制度があるのみである。
似たような制度で、「Family and Medical Leave Act(FMLA)」という連邦法があるが、これは「12週間は休業しても解雇されない」権利を保障しているのみである。出産のみならず、病気や事故、介護などにも適用される制度のようである。

ひとりで子育てするのが辛いのは甘えではない」で書いたように、アメリカは自由と倫理観だけで出生率をなんとか保ってきた国ではあるけれど、さすがに産前産後あわせて12週間で職場復帰とか、どうなんだろう?しかも、「休んでも職は失わないよ」と言っているだけで、この期間は無給である。2, 3週間で職場復帰される人も少なくないらしい。さらに、そんなスパルタな FMLA すら適用されない企業もあるそうである。
社会保障そのものが全然充実していないし、たまに貯金もしないで「宵越しの金は持たねえ」って左から右にお金をざぶざぶ使っているアメリカ人を見ると、楽観的なのかバカなのか、と不思議である。

教員の産休

学校職員はわりとこの辺は充実しているようで、たいていは3ヶ月程度休む。有給が使えるのかもしれない。
息子も2年生の時に、担任が6月に出産したばかりだということで、最初の数か月間は代替の教師だった。当初、11月に復帰と言っていたのが伸びて、結局1月に復職した。だから、担任と言っても半年ほどしかお世話にならず、ほとんど記憶もない。息子もあまり思い出がないようである。

配置換えという柔軟さ

今回、産休を取られる先生は、実は昨年度までクラスを持っているふつうのクラス担任の先生であった。それが今年度、いきなりライブラリアンに転身(?)して、しかも息子の学年だけしか受け持っていなかったので、不思議には思っていた。産休に入られると聞いて、なるほど合点がいった。

司書の先生とはボランティアでもしない限り、特に接点もないのですれ違うこともなく、妊娠していることも知らなかったんだけど、そういう柔軟な配置換えもあるんだなーと感心した。もちろん、もともと司書の資格を持っていたのかもしれないし、メインの司書のサブみたいな形で入れたのかもしれないし、本当のところはよくわからないんだけど、クラスを持つよりは司書の方がずっと影響範囲は少なくて済む。そういうのを見越して、今年度はライブラリアンとして勤務することを選択したんだと思う。でも、収入は減るのかなぁ…

アメリカも日本ほどじゃないにしても、働く女性がキャリアという点において、妊娠出産を安心してできる環境ではないと思うんだけど、制度の不備を現場が何とか穴埋めしたりするところ、柔軟な対応ができるところ、素晴らしいなーと思ったのでした。
まあ、そんな美談ばかりじゃないとは思うけれど。
クラス担任はあきらめない、2週間で復帰するから、とゴリ押ししたものの、予定日を過ぎても生まれず、産後の肥立ちも悪くて結局半年休んじゃった、みたいなこともありそうだし、楽観的なアメリカ人は「仕方ないじゃん」で済ましちゃいそうな気もしないでもない(偏見です)。

教員は替えの効かない職種の一つでは

今年のクラス担任は、現地校も補習校もすごく当たりの先生だった。本当にラッキーである。息子は勉強がとにかく嫌いなので、先生の良し悪しは死活問題である。悪い先生だと、息子の頭には何も残らない。本当に、何も記憶に蓄積されないのだ。恐ろしい。

補習校はまだいいとして、現地校は週に5日も顔を合わせて長時間学ぶわけなので、担任がイマイチだと毎日が辛い。
息子の場合、渡米直後の1年生の時の先生が本当にすごく良かったのは幸いだった。若くてキャリアはまだ浅かったけれど、とても良い先生だった。今でもとても感謝している。あの先生だったから、何とか乗り切れたようなものである。

ところが、2年生以降は「悪くはないけれど微妙」といったところで、何の思い入れもない。
最終学年を目前に、学校を変えようかとまで思っていたんだけど、情弱なもので気づいたらオープン・エンロールメントが過ぎていた。仕方なくそのまま進学したわけだけど、これが大当たりだった。
運命に身をゆだねるのも一つの手段ですね(何もしなかっただけだけど)。
毎年、何かの先生の文句をぶつぶつ言いながら、イヤイヤ学校に通っているようなところがあったけれど、今年はどの授業も楽しそうである。

こんな風にハッピーであればあるほど、クラス担任が妊娠したら、と考えた時、とっさに「おめでとう」って言えるかな、と考えてしまった。担任が新婚だったりすると妊娠しないといいな、とかやっぱり考えてしまったり。学校の先生は、もちろん代替の先生はいるにしても、やっぱりメインとは違うわけで、特に子供に教育するという仕事はなかなか替わりが効かない職種の一つだな、と思う。

私の中にもダブル・スタンダードがあったことに、ちょっとショックを受けたのでした。

↓今年の担任はベテランの先生でお子さんも大きいので産休には入らないと思うけど、何が起こるかわからないからね。ポチッとしていただけたら嬉しいです↓

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