アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2019/08/30

趣味だけでは生きていけない

前回、私の派手な方向音痴について書いた。

つい先日、友だちにお願いして、ちょっと遠くまでカープールしてもらったんだけど、全然道を間違えないし、全く慌てたりしないし、しかもずーっと楽しい会話を提供してくれるしで、あまりの私との違いに愕然とした。
私は運転中ずーっと緊張しているし、よく「あ!」と言って周りに気を遣わせるし、会話もしどろもどろになるし、同じ人間として本当に恥ずかしいです。

私の最大の趣味は

それはそれとして、これほど運転が苦手でその上に道も間違える人間が、なぜショアラインなんて遠くまでドライブする羽目になったか。

渡米して、初めてオーケストラに参加することにしたからである。

好きなことのためなら苦手な運転だってできるんだよ!すごいな、趣味!

私は大学時代に管弦楽団に入団して以来、オーケストラに魅せられて、就職後もほぼずっと続けていた。東京には幸い、信じられないくらいたくさんのアマチュアオーケストラ団体が存在していて、たいてい弦楽器は人数不足でよっぽどのことがない限り、どこかで弾くことは可能であった。
だから、私も気に入らない団体があればとっととやめて、新しい団体に気軽に見学に行ったりして、趣味を謳歌していた。

ところが、渡米以来、オーケストラ活動はぴたっと止まってしまった。シアトル周辺にあるアマチュアオーケストラというのがどこにあるのかよくわからなかったためである。
アメリカというのはご存知の通りとても広くて、素晴らしいアーティストはたくさんいるものの、西海岸はあまり文化面で成熟度が高くない(ような気がする)。アメリカのプロオーケストラと言えば、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、クリーブランド、と言ったところで、西海岸ではロサンゼルスやサンフランシスコもあるけれど、東海岸ほどの盛り上がりはない(ような気がする)。

さらに言えば、シアトル地区に関して、シアトル・シンフォニーというプロオケが存在するが、それも当たり前だけれど、ウェストサイドである。何か音楽的な活動をしたければ、やはりウェストサイドに出なければならない。
つまり、橋を越えなければならないのである。

つまり、お察しの通り、私が参加したアマチュアオーケストラの練習&本番がショアラインだったのである。

アマチュアオーケストラに参加した

昨年、たまたま日本人のつながりでアマチュアオーケストラに所属している人と連絡を取ることができた。そこで初めてアマオケいっぱいある(と言っても数団体だけど)、ということを知った。

その中で、夏のオーケストラフェスティバルの存在も教えてもらった。
これは特定の団体がやるものではなく、近隣の音楽家たちが個々にエントリーして最終的に2週間で仕上げて本番、という、いわゆる「一発オケ」である。
毎年夏にやっているようであるが、これならその2週間だけがんばればいいだけである。ちょっと迷ったけれど、オーディションもないし、エントリーしてみたのだ。

練習は2週間の間に5回だけ。
1週目が2回、2週目が3回、そして土曜日の本番、というスケジュール。
体力的にきつく、プログラムもなかなかの難曲&大曲で、個人の練習量も全く足りず、ところどころ不完全なままで消化不良だった。これがプロだったら2週間でこれくらいの曲をこなすのは普通なんだろうなーと思ったけれど、いかんせん私は4年もブランクのある老眼の始まっている中年である。仕上がるわけがない。

そうはいっても、本当に久しぶりにオーケストラに参加できて、とても嬉しかった。
周りの人はみんなすごくうまかったし(あとで聞いたら、コンマス候補が半分くらいいたようである)、短期決戦なのでみんな集中していたし、指揮者の棒もすごく見やすく、本当に弾きやすかった。

スッキリしない、モヤモヤの正体

ただ…
どうも、何やらすっきりしない。
なぜこうもすっきりしないのだろう、とつらつら考えていたところで、はたと気づいた。

楽しいはずのことも、いつもの生活が充実していないとそんなに楽しくない

同じようなことは、以前にもあった。
1ヶ月ほど失職していた時期である。20年くらい前。
前職を辞めて必死で就活していたのである。
息抜きになるかと思って、毎週のオーケストラ練習は行っていた。
でも、この時は個人練習も全然身が入らなくて、練習に行っても「私は失業者だし…」と卑屈になってしまって、全然楽しくなかった。頭の片隅に、早く仕事決めないと、ということが常にあった。

毎日がたいくつということもないし、特に辛いとか寂しいとか、そういうこともないのだけれど、自分の生活の中に「コレ」というメインの柱がないのだ。
こんなことを言ったら、贅沢だとか言われてしまうかもしれないんだけど、もちろん、家の中を清潔に保つ、とか子供をしっかり育てる、とかいったぼやーっとしたタスクはあるわけだけど、これらは明確なゴールもないし、達成感があるわけでもない。

人生で必要なもの

子供は毎日学校に行き、勉強し、先生の話を聞き、クラスメイトと交流する。
オットは毎日会社に行き、何やら難しいやり取りをし、定期的にお金を家に入れる。
私は何だろう?
家族が出払って一人になると、時間を埋めるためにあれこれ予定を入れる。ランチやお料理などの教室、肩こりがひどいのでマッサージ、ボランティア、ジムに行ったり図書館に行ったり…
でも、定期的な居場所があるわけではない。

そうやって考えると、オーケストラだけじゃなくて、私の予定すべてがただの趣味なのではないかと思えてくる。趣味は余暇にやるから楽しいのに、膨大な時間を埋めるためのたくさんの趣味のうちの一つになってしまうと、特別感もなくなって、途端につまらなく思えてしまう。

突き詰めていくと、結局私はフルタイムの仕事をしたいんだろうな、とそこに至る。
これに関しては、やはりいまだにモヤモヤしている。
働けば?…って話になるわけだけど。
私が働くとなると、就活だけじゃなくてオットへの根回しとか子供の習い事の送迎の手配とか、今まで自分がやっていたことをどうにかする必要が出てくるわけで、そこが一番のモヤモヤポイントなわけです。なんか悔しいから働かない、みたいなよくわからない意地が出てきたりして、まあ、それも私の問題ではあるんだけど。

久々のオーケストラ参加は楽しかったけれど、それによって新しいモヤモヤに気づいてしまったのであった。自分は家族のために生きる、と腹を据えることもできない、うじうじとした性格なのです…

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2 件のコメント:

  1. たまこさん、はじめまして。今年の5月からハワイで小2娘を子育て中のもちこと申します。現地校や英語教育について、過去記事たくさん読ませていただいてます!実は私も大学時代ビオラを始めて、卒業後もずっとアマオケやっていました。出産してからすっかり遠のいてしまってますが・・・シアトルでのオケ参加、羨ましいです!私にとってオケはストレス発散!って感じで、チャイコフスキーとかを大音響で弾いてスッキリするのが好きでした(笑)

    またこの記事で書かれていること、すごくわかります。私もハワイでの自分の居場所というか、すべきことがよくわからないでいます。うちは1年だけの予定ですし、日本での仕事もフリーランスみたいな感じだったので1年くらいのんびりすればいいかと思って来たのですが、アイデンティティ・クライシスとまではいかなくても、自分の居場所がないというのはなかなかしんどいです。ハワイは8月から学校が始まったのですが娘も大変な思いをしているようで、頭ではわかっていましたが、家族で海外で暮らすのは楽なことではないですね。ハワイなので、「いいね〜〜」とばかり言われてしまいますが。
    これからもブログ楽しみに読ませていただきますーー

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    1. もちこさん

      はじめまして。
      読んでくださり、コメントまでありがとうございます!
      少しでも参考になっていただければ、幸いです。

      ビオラですか!素晴らしい~
      今回の夏のフェスティバルでは、マーラーの巨人やりました。
      4楽章の「ビオラッ」のところは、バイオリンはお休みなのでトップの人を凝視してしまいました(笑)
      あの見せ場はたまらないです。

      5月に日本からいらしたのでしょうか?
      1年だけとはいえ、娘さんにとってはかなり大変でしょうね。お察しします。
      環境になれるかどうかは本当に個人差があって、性格によるところもかなりありますし、娘さんが楽しい思い出を作って帰国されるといいなと思います。

      私も最初の1年を振り返ると、体調崩したり、ネガティブなことばかり考えてしまったり、あまり記憶がありません(苦笑)
      「自分の居場所」って意外と大事なんだなーと身に染みています。
      以前、書いたブログ記事を思い出しました。
      海外生活でコミュニティを築いていくこと
      https://tamakoseattle.blogspot.com/2016/02/blog-post_3.html

      アメリカ生活も5年目に突入しましたが、基本的にはあまり変わっていない気がします。
      自分の居場所探しをずっとしているのかもしれないですね…(中二病っぽい笑)

      たまこ拝

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