アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2019/06/04

バイリンガル教育に正しい答えはない

ソイソースに連載されている「バイリンガル笑顔のタネ」というコラムをご存知でしょうか。
コラム - バイリンガル笑顔のタネ | シアトルの生活情報誌「ソイソース」

最新のコラムは、共感する部分がとても多かった。
情報過多のバイリンガル教育?どう対処すべき? | シアトルの生活情報誌「ソイソース」

積極的に「バイリンガル教育」やっていますか?

どうしても、「子供をバイリンガルにするには」という手法にフォーカスしがちだけれど、実際にはその手法以前で問題になることも少なくない。夫婦間で熱量に差があったり、実家や親せきなどからの訳の分からないプレッシャーみたいなものもありうる。そんなに子供に勉強させなくても、という暗に非難してくるとか、逆にこうやってみたら、といった無邪気な提案もある。
意外と辛いのは、「海外にいたらバイリンガルだね!」と楽々自動的にバイリンガルが出来上がってくると思っている人たちである。私もかつてはそうだった。だから、言いたくなる気持ちはわかるけれど、これも意外とメンタルに刺さってくる。

息子が優秀だったらあれこれ期待して教育ママになっていたかもしれないんだけど、幸か不幸か、彼はとにかく「学校が嫌い、勉強が嫌い」という子供なので、すでに「楽しく生きてくれればOK」みたいな、ハードルがかなり低めである。そうは言っても、基礎学力だけは付けてほしいけれど。

今は英語圏の現地校で日々英語のシャワーにさらされて過ごしている彼も、もし突然帰国、となったら英語はあきらめるかもしれない。英語圏にいるから何とかなることであって、日本で必要もない英語を彼が続けてくれるとは到底思えない。本人が将来希望すれば留学でもなんでもすればいいし。
アメリカにいる限りは、バイリンガルにする!と意気込まなくても補習校さえ何とか乗り切れば、ある程度の日本語力は期待できるし(挫折しなければ)、ふつうに現地校で過ごせばある程度の英語力は期待できる(あくまで "ある程度")。
バイリンガルってそう考えると、親の努力だけではどうにもならないよね。

バイリンガル教育の情報が多すぎます

話戻って、コラム。

このコラム内で出てくる「毛利子来(もうりたねき)」先生の著書は、私もちょうど息子が乳児から2歳くらいの間によく読んでいた。懐かしい名前を目にして、そうだった、この先生の言葉にはずいぶん救われたなー、と当時のことを思い出した。
(ただ、小児科医としては、ちょっと疑問な点もなくはないです。)
「万人に共通する子育ての答えはありません」
そうだそうだ。
みんな「あれをやればいい」「こうすべきだ」と勝手なことを言っているわけだけど、確かに基本的な子育て「食う」「寝る」「遊ぶ」はあるにしても、絶対やらなくてはならないことってそんなにないと思う。たいていはただの成功バイアスだよな、と思う。

中でも、この部分は心に留めておきたい。
ママ友だちと話したり情報交換をしたりすることも、もちろん有益です。ただ、状況の違う他の家庭と比べるのは意味がないと心に留めておくべきです。
「他人と比較をしない」ことは、案外難しい。
人間である以上、人との接触は避けられない。そして、社会活動をしている以上、どうしても人と比べてしまう局面がある。
それは自分が小さい頃に始まって、子供を持ってからはしゃべるのが早い・遅い、子供の頭がいい・悪い、スポーツができる・できない、そして渡米してからは英語の上達が早い・遅い…

比べるなら「以前の自分と比べましょう」と言われるし、自分にも言い聞かせている。
…無理だけど。

合格体験記の信頼性

それで思い出したんだけど、だいぶ前に読んだ「合格体験記は、あんまり信頼性高くない」と言っているこのコラムが面白かった。
東大生やその母親が語る「合格体験記」の信頼性が高くない理由(畠山 勝太) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

執筆者の畠山勝太さんは、案の定、私の好きな教育統計やデータなどを専門(?)にしておられて、文章も整然としてとても読みやすくてしかもウィットに富んでいて、よく読んでいる。

話が長いのでかいつまんで要約すると、信頼性が高くない理由は3つ。
  • 効果が高いと言われる教育を施した人と施さなかった人での対照実験がなされていない
  • その教育を受けたから合格できたのではなく、その教育を受けさせることができるような裕福な家庭だから合格できたのかもしれない
  • 遺伝などの第3の要因があったかもしれない。家庭での教育を語る場合は学校要因が、学校での教育を語る場合は家庭要因が抜けている可能性がある。
全文読むとすごく面白くて「全くその通りだ、全然信用できん」と思うんだけど、そうはいっても、やっぱり合格体験記は気になる。
英語学習においても同じことが言えて、TOEIC900点取るためには、とかやっぱり読んでしまう。その通りにやっても全然英語できるようにならないので、自分の努力が足りないのは百も承知なんだけど、どうしてもすがってしまうのは、もしかしたらできないことへの現実逃避の一つなのかも…

↓渡米4年ですが、息子はともかく私はほとんど英語力上達していません。ポチッとしていただけたら嬉しいです↓

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