アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2018/06/26

日本の友人がシアトルに引っ越してきた

3月初旬、東京のオーケストラで活動していた時に同じバイオリンパートにいた方からメッセージが届いた。
この4月からシアトルに半年住むことになりました。アメリカ自体は1年いる予定なのですが、残りの半分は別の場所に移ります。
つきましては、住むのによい場所や安く車が手に入るお店・伝手、あと子供を保育園に入れたいのでいいところがありましたら教えていただけないでしょうか。
半年で引っ越し?しかも家族全員で? しかも保育園入れるってどういうこと???

1年ぽっちしかいないのに、お子さんも3歳で英語身に付くとかそういうレベルじゃないし(日本語だって怪しいのに)、1年の間に2度も引っ越しあって、家族全員で来る意味がわからない。家庭の事情だからいろいろあるんだろうけど、やめた方がいいんじゃないかなー、と最初は思った。

そもそも彼(男性である)は、事務仕事があまり得意な方ではない。
たいていいつも焦っているし、勘違いも多いし、話をよく聞かずに見切り発車して収集付かなくなってキレる、とかいうところがある(でもいい人です)。
家族を連れてアメリカに来て、アパートの契約をして車を買い、さらに子供の預け先を探すという離れ業ができるとはとうてい思えない(でもとてもいい人なのです)。

一応、知っていることを彼に伝えてはみたのだけれど、忙しいのか(案の定)あまり返事がない。そうこうしているうちに4月になり、どうしているんだろうか、と思った頃、彼から連絡がきた。
引っ越してやっと落ち着きました(ウェストサイドに住むことにしたそうなので、私の情報はほとんど役に立たなかった)。車も契約できたし、ベルビューに行く用事があるので、一度お会いしたいのですが。
おおお!全部すっ飛ばしてもう落ち着いて、家族全員で私に会いに来るとか!

その日程調整も、なかなか返事の来ない彼とのやり取りでびっくりするくらい時間がかかっちゃったんだけど、4月某日、数年ぶりの彼と初めましての彼の家族との再会を果たした。

驚きの渡米理由

車から降りてきた奥さまが、なかなかの切れ者の雰囲気を醸し出している。
いつも慌てている人の奥さんなので、彼と結婚できる人はどんな人物かと思っていたけれど、なるほどこれくらいの落ち着きのある人じゃないと確かに家族として立ちいかなくなるだろうなと妙に感心してしまった(何度も言いますが、彼はとてもいい人です)。

そして、驚いた話が。
実は、今回の渡米の目的は、奥さまの修士取得だったのである。留学である。
てっきり、彼の仕事の都合なのかと思いこんでしまったため、彼には大変失礼な勘違いをしてしまった(もちろん彼には言っていないけれど)。本当に申し訳ない。思い込みって怖いですね。いつも差別的なものの見方はしないように気を付けていたつもりだったけれど、奥さま都合だったとは1ビットも考えなかった。思い起こしてみれば、保育園を必死で探していたあたりで気づくべきであった。ものすごく反省した。

細かい事情は少し手を加えて説明するけれど、彼女の留学は某州で9月スタートである。
彼は彼女の留学に合わせて、会社のアメリカ研修生制度にアプライして合格した。この時点で彼女が留学先の大学に合格するかどうかはわかっていない。彼にとっても大きな決断だったと思う。もし、彼女が不合格だったとしても、自分は渡米しなくてはいけないはずだし。
そして彼女は見事合格した。素晴らしい。感動してしまった。

ただ問題は残っていて、修士というくらいなので、彼女の留学期間は2年である。ところが、彼が会社からもぎ取れる研修期間は1年だけである。来春には帰国しなくてはいけない。その後どうするかということはまだ全然決まっていないんです、と彼女は言う。

まさかの見切り発車!

子供への負担

とにかく修士取るのは片手間では絶対無理で、何もかもを犠牲にして論文書くくらい真剣に取り組まねばならず、今はその準備期間なのだと言っていた。
中でも3歳のお子さんを保育園に預けるのは絶対条件である。
彼女の留学先は何もない田舎だそうで、保育園に預けるにしても、絶対に日系の保育園などない。だから、まずはここでローカルの保育園に預けてその環境に慣れさせているということであった。

それでも、3歳と言えば物心のつく年ごろである。今まで保育園が嫌で泣いたことなど一度もなかったお子さんが、アメリカに来て、保育園に通いだして、朝起きぬけに
「きょうも ほいくえん いくの?」
といきなりたずね、そうだよ、と答えたとたんに号泣した、という話は辛かった。親じゃない私ですら、胸がきゅーっとなるのに、実際にそれを目の当たりにする親御さんの気持ちたるや、想像に難くない。

何度も言っているけれど、「子供は慣れるのが早いんだから大丈夫」って無責任極まりない、何の根拠もない、そういう思い込みは宇宙の塵となって消えてしまえ、と思う。
子供は慣れるのが早いんじゃない(多少はあるとは思うけど)。環境を選べないから、そこで生きていくしかないから、必死で環境に合わせているだけだ。大人だって、英語しゃべれなかったら死ぬくらいのプレッシャーかけられながら3か月も過ごしたら、頭がおかしくなるか心が病むかしなければ、英語はかなり上達するだろうと思う。

そしてすぐに影響を受ける

というわけで、彼ら家族には、この渡米でハッピーな未来がやってくることを切に願ってやまない。大人になって結婚して子供産んでキャリア積んで、そこでふと立ち止まって「やっぱり勉強したい!」とここまで行動してきた彼らをとても尊敬する。

彼女は何度も「私もアメリカで暮らせるチャンスがあればいいのに」と言っていた。
世の中はうまくいかないことだらけだ。それほど強く念じてもいなかったのにアメリカ生活を手に入れてしまった私と、強く希望しているにもかかわらず、限定的なアメリカ生活しか(今のところ)手に入れられない彼女と。

手に入れられない人のためにがんばる義理は、もちろん私にはないし、そんなつもりもないのだけれど、このままのんべんだらりとしているのはもったいないなぁとつくづく思ってしまった。

私ができることって何だろう?アメリカで、何を成し遂げよう?

↓気持ちだけで行動が伴わず…ポチっとしていただけたら嬉しいです↓

2 件のコメント:

  1. 日本女性頑張れ~!って感じ。
    まあうちはどこの国でもなんの問題なくこれたので、このお子さんの「今日も保育園行くの?」をもしわが子が言ったとしたら・・・想像できないんですけど。本当にそれぞれですもんね。3歳くらいなんて言葉通じなくても公園で遊んだりしてたけど・・・あ、これもそれぞれですね。言葉通じなくてもなんとなくうまがあうって子が必ず出てくると思うので頑張ってほしいですね。

    返信削除
    返信
    1. 陸太太さん、

      いつもありがとうございます。

      たぶん、このお子さん、まったく言葉が通じない世界があることに衝撃受けちゃったのかなーと思います。周りの人を「えいごのひとたち」と呼んでいるそうです。泣けます。
      あと、公園で遊ぶのと保育園に預けられているのとでは、やっぱりちょっと違うのかもしれません。結局、ウマが合う子ができるかどうかっていうのが大きいですよね。年齢によらず。

      自分のことは辛抱したりできるけれど、子供に無理強いさせているかもしれない、と思うとやっぱり辛い。こういう、様々な障壁をもってしてもそれでも成し遂げたい何かがあるというのは素晴らしいです。何とか乗り切って、初志貫徹してほしい!と心から思いました。

      たまこ拝

      削除