アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2019/05/07

現地校 テスト直前にやることは

このところ、ちょっと面倒なナルシストっぽい内容が続いていましたが、今日は久しぶりに現地校のお話です。

学校・担任の気合が感じられる Smarter Balanced Assessment

当ブログでも過去に何度か取り上げたことのある Smarter Balanced Assessment (SBA).
毎年3年生以上が3~5月の間に受験することになっている。
アメリカの義務教育とそのカリキュラムこぼれ話
(記事後半に、テストの情報あり。)
過去記事にある通り、このテストはどうやら学校のランクや先生方の評価などにも使用されているらしく、先生方の気合の入り方が尋常ではない。

どのように尋常ではないのか

1.サンプルテストを事前にやらされる
担任や学校の方針などによって違うと思うが、息子のクラスでは、2週間前から宿題がSBA対策になった。サンプルで配布されているものなのかソースはわからないが、PC上で出される試験問題を印刷して宿題として出された。事前にどのような形式で出題されるか、形式に慣れておくという目的もあるのだと思う。
何がびっくりするって、テスト対策的なものをこのテスト以外では見たことがない、ということである。それだけこのテストが、少なくとも先生方にとって、特別だということだろう。

2.注意事項が過剰である
やはり数週間くらい前から、担任からメールでこのような内容のメールが届き始める。
  • 当日は、必ず水を持ってきましょう
  • 糖分補給のため、シリアルバーのようなものを持ってきましょう
  • ガムをかむと集中力が増します
  • 快適な服装で来ましょう
  • その方がリラックスできるということであれば、スリッパでも
毎週のように、同じようなSBA向け注意事項が来る。
ガム噛みながらテストとか、日本でこれやったら一発アウトだわ。最初に聞いた時は冗談かと思った。でもここアメリカでは、ガムは集中力アップのためのマストアイテムのようである。ところ違えば、取り扱いも真逆となる。
でも、ガム噛めとか、もう末期というか、ガムごときでいい成績取れるならだれも苦労しないよ。気休めか。
シンガポールに住むことになったら、彼らは生きていけないかもしれない。

3.励ましの言葉をかける
そして極めつけは
励ましの言葉を封筒に入れて持ってきてください
??
"encouraging notes" とな?

励ましてテストの成績があがるのであればいくらでも応援しますが、これはいったい何の冗談かな?本気なのかな??
息子も
あのさー、学校に あんべろうぷ 持っていかないといけないんだってー
とか言ってくるので、ますます訳が分からない。何度も聞いてそれが
envelope
のことだとわかった時の、ひとつ難事件解決した感。

でも発想が日本とさっぱり全然どこも交わらないところも笑ってしまう。
テスト前だったら「こことここは要チェック!」とか、テストの要点教えてくれたりするものじゃないのか?そんなに点数気にするなら、もうちょっとできることあるのではないか?…と果てしなく疑問が浮かぶのであるが、まあ、そうおっしゃるんなら、と "encouraging notes" とサーチボックスに入力したところ、恐ろしいことに出てきた。何が。
サジェスチョン出てきたわー。 "...for students taking tests" って!
担任の先生がやけくそになったわけじゃなくて、これはそういう文化なのか。そうか。
テスト前は、保護者が励ましの言葉をかけてあげたり、メモを持たせたりする文化。
でももし、日本みたいに中学受験でもあったら、チアリーダーでも呼んでこないとバランス取れない。

ちなみに、冒頭の写真が、この時の検索結果を参考に作成した、私の "encouraging notes" である。
5枚あるのは、テストが5種類あるからで、テストごとに色がきめられていて(ぶっちゃけどれでもいいんだけど)、テスト前にそれが配られ、それを机の上に置きながらテストを受けたそうである。
「お母さん、すごい上手だね、でもオレはハゲじゃないよ」
(絵の中の顔は、別に息子をイメージしたわけではないのだが)
と息子に感想を述べられたのだが、息子よ、そうじゃないんだ、お前がこれみて発奮してくれないと、夜なべした意味がないのだよ。

3.辞書持ち込み可
ELL の生徒用の配慮だと思われる。辞書を持ってきてもよい、と書かれていた。
でも、国語辞典もろくに引けないような息子が、英和辞典引けると思えないし、引けたところでそこに書かれた日本語がわからないんじゃないかと思うので、むしろ英英辞典の方がいいのではと思ったり。電子辞書が手軽でいいなーと思うんだけど、US Amazon で見たけれどあまり種類がないのでこれは断念した(見ていたらほしくなった)。
でも、どうせWebで受けるテストなんだから、辞書サイトで単語引けばよくない?試験中に別のタブ開いちゃいけないのかな?Chrome 使っているみたいだから、Extension 入れちゃうとか?
Weblioポップアップ英和辞典 - Chrome ウェブストア
(よく読んだら、「紙」の辞書をテスト前日に名前書いて持って来い、と書いてあった。)

4.時間制限はない
さらにびっくりしたのが、時間制限はない、との記述。いつまででもやっていいよ、と書いてある。
息子に聞いたところ「え?ランチの時間になったら強制終了させられたよ」と言っていた。
あー…先生だって都合あるしね、小学生の時間の使い方に付き合っていられないのはわかる。休み時間は通常通りって書いてあるし、「時間制限なし」って何?

最後に

これは単純に文化の違いと言ってしまっていいのかわからないのだけれど、学校としてわりと大事なテストであるにも関わらず(評価につながるらしいし)、良い点を取るための努力ではなく、どれだけ生徒をリラックスさせて彼らの今現在持てる力を最大限に出すかということにパワーを割いている。こちらとしては失笑してしまうが、おそらく学校側はそんな風には全然思っていなくて、大真面目にアナウンスしているんだろうと思う。

もしかしたら、こういうところにアメリカの強さがあるのかもしれない、と思ったり思わなかったり。
まあでも、プレッシャーをなるべく与えない、という点では一貫しているなーと感心する。

ちなみに、担任から「シリアルバーとお水の寄付お願いします」というメールが来たので、テスト前週に、学校までお水を届けに行った。
しかし、寄付まで募って、子供たちがテスト中にお腹が空いたりのどが渇いたりしないように配慮するのは、ちょっと甘やかしすぎではないだろうか?と、日本育ちのおばさんは思わずにはいられなかったのでした。

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