アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2018/10/12

補習校を辞める決断

最近、「補習校辞めてしまいました」とか「今月いっぱいで」とか聞くことが増えてきた。改訂版の連絡網配られて、クラスメイトがいなくなったのを知ったり。

こちらに来て3年たつので、ずいぶんたくさんの人を見送ってきた。
見送るたびに、自分の補習校への思いが、ゴリゴリと削られていくようで辛い。
(私の問題です。)

鬼門の4年生

体感だけれど、今までは帰国が理由の方が多かったけれど、最近は「スポーツが」とか「補習校自体が」とか別の理由の人も増えてきたように思う。4年生といえばもう10歳になる年齢だし、いよいよ自我もしっかりしてくるので致し方ないと思う。だって、補習校よりも大事なことは、いっぱいあるからね。

何かを続けるというのは、とても難しい。
単純に「根性が足りない」とか言うのが一番わかりやすいんだけど、補習校は習い事とは違うので、根性とかで語ってほしくない。
途中で日本語への興味を急速に失っていく生徒も多いし、それに対して「あー、あの子は日本語怪しかったからね、親はいったい何をしていたんだか」みたいな少々意地悪な見方をするのはお門違いだと思う(そういうことを言っている人を何人か見たことがある)。

子供だって意思はある。
親の思い通りになんかならない。

1,2年で日本に帰るならともかく、3年以上日本語と離れてしまうのは危険である。日本語を捨てる覚悟をしなくてはならない。親としては、継承語を失うので心が痛む。でも、本人にやる気がないと、続けることは難しい。そして、ないところからやる気を引き出すのは、たとえ親だとしても難しい。

補習校が辛い

今年の夏休みくらいから、私も補習校が辛い、と気づき始めた。
宿題が辛かったというのもあるんだけど、作文とか漢字とか計算問題とか、そういうのを延々とやっていたら、子供の時間をこんなことに割いていていいのかとか、疑問に思うようになってしまったのだ。
もちろん、補習校としての役割は十分わかっているし、息子もなんとか踏ん張って、中学まで行ってほしいとは思うけれど、ダメだったとしてもそれは仕方のないことだと思うことにしている。

これまで、さまざまな理由で辞めていった子供たち、そしてその決断を受け入れた家族の方々、あっさりあきらめた方もいただろうし、苦悩の末の決断だった方もいたと思う。どの決断も尊い。

辞める勇気、続ける勇気

こんな感じで、うだうだと「辞めたいけど、辞めたら今までの努力はすべて無駄になるし、別に今のところ補習校を辞めるだけの理由もないし」と煮え切らない思いを抱えながら過ごしていたところ、駐在でいつ帰国になるかもわからない保護者の方が
「うちは日本に帰るから、辞める選択肢がない」
というのを聞いて、ハッとした。
そうだ、選択肢がない人もいるのだ…

選択肢がないはずだったのに、思いのほか駐在期間が延びに延びて、結局日本語で学習ができなくなった子供を残して、駐在員だった父親だけが日本に帰っていったご家族も知っている。日本に帰る予定の方が日本語での学習をあきらめる決断を下すのは、それは並大抵ではなかっただろう。でも、スポーツやその他のアクティビティを優先したい事情があったのも理解できる。

補習校を辞めて、子供とケンカしなくなった、という話もまた切ない。
親子関係が悪くなってまで続ける意味って何だろうな…

生かすも殺すも

日本の方ではないのだけれど、英語圏で生まれ育った方が、ご両親の母国語を習うことなく英語だけで大人になり、
「母国語をしゃべれるようになりたかった」
「だから、子供には二か国語使えるようになってほしい」
と悔しがって話していたのを聞いたことがある。

もちろんこれも一つの意見で、バイリンガルにはなったものの、「補習校は大嫌いだった、あんな無駄なことはない」と思っている人もいるかもしれない(会ったことはないけれど)。

せめて、息子には「あの時間は無駄ではなかった」と思ってくれるように、日本語の学習を続けていけたらな、その前に自分のモチベーション高める努力をしないといけないな、と思った次第です。
今のところ、日本語での学習に問題はないのだから(たぶん…個人面談が怖い…)。

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2 件のコメント:

  1. こんにちは。 うちの娘は補習校には行きませんでしたが、日常生活では普通に日本語で話しています。 今は大学生ですが、先日インターネットの日本語のボキャブラリーのクイズをやってみたら、8歳レベルという結果で泣き笑いでした。 一人で日本国内を旅行もしたし、大人と普通に話せるけど、きっと学生として日本で勉強するには無理がありますね。 お子さんと日本語の関わり方をどういう風にしたいのにも寄りますが、会話が出来るので十分というのであれば補習校は必ず必要ではないと思います。

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    1. M子さん、

      コメントありがとうございます。
      娘さんは、補習校も何も行かずに、今も日本語を話せるということですか?
      すごいですね!家族での会話だけですか?
      日本人家庭でも、日本語が話せなくなっていくお子さんを多く知っているので、どうやって保ったのかとても知りたいところです。

      どこにゴールを置くかは、まったくおっしゃる通りだと思います。
      でも、みなさん、子供には日本語を失ってほしくない、という気持ちがどうしても捨てきれなくて、補習校を辞める勇気がなかなか持てないんだと思います。私も含めて。一度日本語での学習を辞めてしまうと、もう元には戻れないから。

      言葉は長い年月をかけて積み重ねていくものであり、途中からなかなかリカバリできないので、悩みは尽きないですね。

      たまこ拝

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