アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2016/07/07

日本が仮住まいとなったと痛感した件

現地校を数日お休みして、6月中旬から日本に来ている。
私と息子と二人きりで1ヶ月ほど滞在し、その間、息子は日本の小学校に通わせてもらう。
(体験入学に関しては、アメリカに戻ってからゆっくり記事にしたいと思います。)
日本に来て3週間目に入り、やっと諸々の手続き(税金とか)が終わって落ち着いたところでふと気づいてしまった。

「私は、日本ではただの通りすがりの旅人でしかなくなってしまった」

日本国籍を持った日本語(だけ)を話す日本人だと思っていたのだけれど、私が落ち着ける居場所は日本にはなかった。
まず、ダメもとで住民票を取りに行ってみたところ
「1ヶ月ですか、それですと、長期の旅行者と同じということで、住民票は取れません」
と無下に断られた。
継続して税金を払い続けられない人が、区のサービスを受けられないのは、まあ、当然と言えば当然である。
その時に思ったのだけれど、いろいろ言われているものの、総合的に考えれば日本のサービスはやっぱり素晴らしい。住民登録できないことで受けられるはずの数々のサービスを失ったことへの喪失感に、しばらく立ち直れなかった。

私の居場所は日本にはないのだ。

元いた小学校に息子を通わせている関係で、クラスの保護者達とも交流して一緒にご飯食べに行ったりしているんだけれど、そういうことを何度も繰り返しているうちに、「私は客人なのだ」ということを強く意識せざるを得なくなった。皮肉なものである。

結局、私がどんなに言葉を尽くしても、海外生活経験のある人にしか伝わらないことはたくさんあったし、たとえ学生時代留学していたという人であっても、その人は少なくとも「自分の意思で」その国を選択し、海外生活を始めた、という点でやはり意識が異なっており、本質的な部分でわかりあえないような気がした。

私と同様に、配偶者の都合で海外生活を始めた人であっても、子供の有無や子供の年齢、駐在か留学か、短期か長期か、などでも意識に違いがあると感じることは多々あったけれど、日本で生活している一般的な日本人よりも、一緒にいて格段に気が楽だということに気づいてしまった。
アメリカに戻って、彼女たちと悩みを共有したいとさえ思った。

これはとても悲しいことであった。

1年前まで、私は一般的な普通(何をもって「ふつう」とするかはさておき)の日本人だったのに、たったの1年で、疎外感が生まれてしまうとは。そして、今回は運悪く参院選に投票もできない。「国民」の権利の行使もできない(アメリカにいれば在外投票はできるんだけど、日本人なのにアメリカにいないと投票できないのである)。

***

とはいえ、毎日息子は学校でおいしい給食を食べ、日本語で勉強し、どこに行っても日本語を話せる友だちがいる。私にしても、ほしい食材がどのスーパーに行っても簡単に手に入って、食べたいものを安価に食べられる生活が、本当に幸せだと感じている。
食べ物って本当に大切ですね。

息子に「来年はもっとながーく日本にいようか」と言ったら「やったー!」ともろ手を挙げて喜んでいた。
そうか、やはり息子にとっても日本で生活する方が断然楽しいのだ。
本当に切ない。

あと2週間ほどでアメリカに帰らなくてはならない。その日のことを思うと、とても気が重い。
また、毎日が「・・・・」な生活に戻るのだ。
息子に「お父さんに会えなくて寂しい?」と聞いたら「さびしいよ~」と返ってきた。
これが、アメリカへ帰る唯一の理由かもしれない。

4 件のコメント:

  1. たまこ様

    またまたお邪魔いたします。

    あと2週間でアメリカに戻られるのですねぇ。。。
    <余談ですが、私は2週間後に日本に一時帰国致します。>

    前回の『帰国する日本人家族を送り出す季節にて』のup同様、今回も共感致しました。しかも、今回のは上手く言えませんが、結構深い・・・と言いますか、難しい件ですねぇ〜

    私の場合は、以前にもお伝えしたので重複してしまいますが、過去には留学で、そして今回はアメ人と結婚し、米国での生活を選択したワケですが、、、思うに(あくまでも私の場合の話で)結婚した時点で、半分以上の割合でアメリカで生活する可能性があるのを納得していると思うのです。つまり、留学だろうが結婚だろうが、どちらも「自分の意思で」全て選択し、納得した上で、米国に来たってことになると思うのです。

    しかし、今回、納得して渡米したにも関わらず、違和感というか、”こんなはずではぁ〜!”とは思わないまでも、前回留学して住んでいた時とは明らかに違う感覚があるのです。ずっとある言葉の壁はもちろんですが、それ以外に、留学という期間限定と、今回の永住っていう比重の違いなのかは、まだ自分では解りませんが、なんとなく自分の生活ペースが掴めないまま、地に足が付いてない状態で、暗中模索している感じ・・・とでも言いますか。強いて言うなら心の【準備中】とでも言いますか。ですが、一応、それでも目標もあったりして、、、でも、いろんな意味で思うようにいかず、結局焦ってるんですよねぇ・・・

    なんか、長々、とりとめもない内容になってしまって申し訳ございません。

    ところで、前回お伝えしそびれたんですが、過去の記事の運転免許編を参考にさせいて頂き、私も5月に無事免許取得出来ましたぁ〜!が、まだ数回しか実際運転してないし、ハイウェイにも乗れないっていう・・・現実。
    とっても参考になりました!ありがとうございました。因みに、私の近々の目標は車でベルビューまで行くぞ!なんですよ、プププ(*´艸`) なので、将来お会いできたりしたら嬉しいかも〜って思ってます。(勝手にスミマセン)

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  2. renkonさん

    コメントありがとうございます!

    おっしゃる通りで、「期間限定かどうか」というのは大きいですよね。
    「卒業するまで」「単位を取るまで」「資格を取るまで」...

    それから「自分の意思」だとしても、条件が「人」か「場所」かという違いもあるかもしれません。
    アメリカ人とご結婚されて、「アメリカに住む」という選択をされたとしても、それは結婚相手と一緒に住む、ということであり、住む場所がたまたまアメリカだった、ということに過ぎないと思うのです。
    アメリカと結婚したわけではなく、だんな様とご結婚されたわけですから。
    その点、留学は「この大学でこれを学びたいからここに住む」、つまり「場所」の選択なのですよね。

    理由が何であるにせよ、そのモヤッとした何か、よくわかります。
    私も言葉にならないモヤモヤ感をどう表現したらよいかよくわからないのですが...
    どうすれば、この霧というか靄の中を抜け出せるのか、結局、毎日をコツコツ積み重ねていくしか、今のところ思いつかないんですよね...

    運転免許合格おめでとうございます~
    私も高速乗れません!!
    だんなさんに「練習したい」と言ったんですが、「やめておけ」の一言で、やる気失ってそのまま放置です。
    シアトルだったら、私バスで伺いますよ~(笑)
    ベルビューまで車で来られましたら、ぜひご連絡くださいませ!
    (右のリンクに連絡フォームありますので!!)

    たまこ拝

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  3. 私もまたまたお邪魔します(笑)
    Renkonさんと私はほとんど同じ状況なので、コメント、うんうんと
    頷きながら読んでいました。

    アメリカ生活がまだそこまで長くないたまこさんがそう感じられたのなら、
    私はたまこさんがすごくアメリカでの日々に真剣に取り組まれているんだと
    思いました。
    私は英語だって困ることはそこまでないのに(renkonさんと同じで
    留学、結婚ですから、ある程度の覚悟はあったはずなのに)、若い時より
    ずっと気持ちが日本にしがみついて、私の生活の基盤はアメリカなんだわーと
    実感できたのはつい最近のことです。昔は日本から帰ってくる時は自分の
    ものや子供のものですごい荷物だったのが、この前は大半が同僚や
    友達、子供の習い事の先生へのお土産で埋まり、ハワイに戻ったことを
    上司に報告すると「おかえりなさい、無事帰ってきて安心しました」と
    言われジーンときてしまい、その時に、あぁ、私はもうこっちの人間なんだと
    はじめて思ったくらいです。私は長い間、アメリカを否定して、殻に閉じこもった
    生活をしていました。色々変わったのはやはり自分が仕事をしたり
    教会の日本人コミュニティに入ったり、子供が学校に慣れたりして、居場所が
    少しずつ広がっていった頃だと思います。私たち夫婦はハワイには何の
    縁もないので、主人にとっても住みよいところでも何でもないです。ですから
    主人にとっては家庭が安らぎの場であるとは思いますが、結婚後の女性に
    とってはそうではないですよね。家庭以外の場所に自分の存在を置けることは
    女性には大きなことだと思います。

    本当に、不思議ですが期間限定の留学と移住では、アメリカは全く
    違う場所に見えます。「お客さん」ではなくなってしまうと、人からの対応も
    こんなに違うのかなと驚くこともあります。義理の家族ですら違いました、
    「異国から来た留学生の彼女」から「アジアから来た嫁」は
    どうやら全然違うもののようです。

    車だって、私もフリーウェイ乗るのに3年くらいかかったんじゃないかな(笑)
    本当に、異国に住むということは、少しずつ少しずつ、baby stepで生きて
    いくことですね。それが情けなくなって大泣きすること、何度あったでしょう。
    それでも逆のこともいっぱいあって、「日本て何でこうなんだろう・・・」という
    ことも出てきます。どちらのいいところも知ることが出来るというのは
    きっと幸運かもしれませんね。

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  4. みーさん、

    貴重なコメントありがとうございます。
    考えさせられることが多々ありました。

    私の場合は、日本への期待が高すぎたんだと思います。
    そんな大層なことではないです...
    日本という国は、日本国籍を持った、日本在住の、血統書付きの日本人(?)しか目が向いていないんだ、ということをはっきり知ってしまったんですよね...
    在外邦人には冷たい。

    留学からアメリカ人とご結婚という選択をされつつも、居場所が見つかるまで殻に閉じこもっておられたということですが、よく考えたら、私なんかよりずっと逃げ道がなかったわけですよね。
    私はやっぱり心のどこかで「老後は日本だろう」という楽観があって、それがよりどころの一つになっていることは否めないと思います(だから余計、久々の日本にがっかりしたというか)。
    そう考えると、その期間のみーさんのお気持ちは、私の想像をはるかに超えたところにあっただろうと思います。

    お話聞いておりまして、そもそも私の交友関係もかなり限定されていることがわかりました。
    周りは駐在の方ばかりですから。
    もしかすると、永住の可能性のある方々とも交流していくと、何か別の切り口が見つかるかもしれません。

    >どちらのいいところも知ることが出来るというのはきっと幸運かもしれませんね。
    本当にそうだと思います。
    日本くだらないなーと思うことも多々ありました。
    アメリカは多くの移民を受け入れてきた歴史があるだけあって、懐が大きいというか(どんぶり勘定というか)、移民として入国してみると、アメリカは暮らしやすい国なのだろうなと思ったりします。
    文句ばかり言っていますが(笑)

    いつも本当にありがとうございます。
    またコメントいただけたら嬉しいです。

    たまこ拝

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