アメリカ西海岸、シアトルのお隣ベルビューにいます

2019/12/08

Book talk と作文

息子は5年生である。ミドルまで1年を切ってしまった。焦ってこの9月からTutorをつけている。今更だけど、やらないよりはいい。そして、そのTutorがあまりにも優秀で、本当にいい出会いに感謝している。ありがとう。

マンスリーイベント Book Talk

10月から、現地校で月に一度、Book Talk というのをやっている。
月初めに「今月読む本」を一冊選び、本のタイトルと子供のサイン、親のサインをして担任に提出する。1ヶ月かけてその本をじっくり読み、月の最後の週にクラスみんなの前でその本について2分程度の "Book Talk" をするのである。それもちゃんと形式が決まっている。

担任からの案内によると;
Book Talk の前に
  • この本のどこがおもしろいのかを考えてみましょう。特徴的な登場人物や出来事など。
  • クラスの人たちの興味を引く話し方について考えてみましょう。質問から始めるのも一つの手です。「永遠の命があったら、と考えたことがありますか」「ロードトリップの冒険をしたことがありますか」といったことです。
  • みんなの前で話す前に、家で家族の人の前で Book Talk の練習をしましょう。
Book Talk の間;
  • 著者とタイトル、そして本のジャンルを伝えましょう。
  • その本を選んだ理由を話しましょう。
  • ネタバレしない程度に本の内容について話しましょう。
コツ;
  • クラスメイトを見ましょう。
  • 大きな声ではっきりと話しましょう。
  • 熱意を見せましょう。
  • 2分以内に収めましょう。
11月は「伝記」を読むことになっていたようで、これらの基本的なことに加えて、その人物の "Sequence of Events" も書き出すことになっていた。Sequence words (= first, then, next, however, also, afterwards, finally,
etc) を使って。補習校でも似たような書き方を指導されたような気がする(初めに、次に、さらに、最後に等)。この書き出した時系列のできごとを元に、みんなの前で話す。

Tutor の教え方が素晴らしい

ここでようやく話は冒頭に戻り、この時系列の書き出しを Tutor に頼むことにした。
何度も言うけど、この先生はとても優秀なので二つ返事で引き受けてくれた。「こういうのは慣れています」と言う。頼もしい。
出来上がったものを読ませてもらったけれど、確かに素晴らしかった。すべて文章は息子自身が書いたものらしかったが、それらの構成や組み立ては先生の指導のたまものだったと思う。担任の先生からの評価も上々で、これがうまく書けたからか、息子も堂々と発表できたようである。

9月にプレ発表があった時は、いきなりは話せなくて先生に少し時間をもらって、ノートにメモを書き出してようやく発表をしたらしかったんだけど、声もあまり大きくなく、時間も1分もかからずに終わってしまって、もう少し長く話しましょう、声ももっと大きく出しましょう、と先生の評価が書かれていた。

文章の組み立ての一つの方法

この時、Tutor の先生が教えてくれたのは、文章の組み立てについてだった。息子はこの先生のことをかなり気に入っていて、レッスン後には必ず今日やったことを話してくれる。勉強嫌いの息子にしては、素晴らしい反応である。
この時、Tutor が指導してくれたのは
1. トピック(自分の考え) 2. 詳細(自分の考えを裏付ける理由や証拠) 3. 結論 (やはり自分の考えは正しい)
という構成だった(らしい)。
冒頭にまず自分の考えを説く。何の根拠もないので、読み手は「怪しいな、本当かな」と思う。だから、中間部で根拠をいろいろと列挙する。一番最後に結論を持ってきて、中間部でたくさん述べてきた根拠を元に、だから自分の考えは正しいのだ、と持っていくのだそうである。

こういう明確な手法があると、文章を書きやすいのではないかと思う。しかも、内容も練られていて、一定のレベル以上のものができあがってくる。
アメリカでは小論文を小学5年生でマスターする - nynuts

もちろん、言われてみればよくあるテンプレではあるけれど、先生から書きながら指導してもらった方が、子供の頭には残りやすい。私がやると、最後には怒声が飛ぶので…平和的解決である。

補習校の宿題にも応用してみた

そんな折、補習校で漠然とした作文の宿題が出た。
5年生になってから作文帳に書かせる形式の宿題がかなり減っていて、とても久しぶりだったので、どうやって書かせようかなーと思案していた時に、この手法を思い出したのである。
テーマは「向井千秋さんの文章を読んで」。
向井さんと言うのは、もちろんアジア人初の女性宇宙飛行士になった向井千秋さんのことである。彼女が雑誌に寄せた文章が宿題の紙に載っていて、それを読んで作文を書け、という宿題だった。

いわゆる「感想文」だと思うんだけど、息子に「どう思った?」と聞いたら「すごいと思った」。

一言で終わり~~!!

アホもここまでだと、教えがいあるよね!

文章の中で、核となるテーマを探して(1.自分の考え)、向井さんの考えの根拠を列挙プラス自分の体験などを列挙(2.詳細)、最後に向井さんの考えを元に自分の生活にどう生かしたらよいか(3.結論)みたいな感じでまとめさせた。
何とかそれらしい感じの感想文になった。

手伝う方としても、こういうテンプレート的なものがあるとわりとスムーズにいきやすいということがわかってよかった。現地校と補習校の二足わらじで本人も家族も負担が大きくて挫けそうなこともたくさんあるけれど、両言語で習っているからこそできることもあって、たまにこういうことがあると、小さくとも希望が見える気がしてまたがんばろうかな、と立ち上がれる気がする。まあ、勉強面より精神面などの方がメリット大きいけれど。
それにしても…本当に手がかかる。5年生になってもひとりで作文書けないとか本当に困惑を通り越して「無」の心境である。悟りを開くしかない。

息子の発言に成長を感じた

最近、息子が「学校の writing が難しい」と言うようになってきた。writing のテーマそのものが難しくなってきたことで、使う単語や文法も複雑になってきており、おそらく日本語でやっても難しいのではないかと思う。よく考えたら(考えなくても)5年生なので、年齢的にそれは致し方ないとは思う。
(実際、日本語でも作文全然書けないし…💦)

それより、「難しい」と感じられることの方が、息子の成長を感じられてちょっと嬉しかった。右も左もわからなかったときは、「難しい」も何もなくて、濃霧の中方向を見失って呆然としていたわけで、そこからいつの間にか脱却してそれなりに文章を自分で書けるようになり、そして5年生となって「わからないことがわかる」という境地まで来たのである。がんばったね(涙)

おまけ

ライティングの話から少し外れてしまうんだけど、「ライトハウス」の連載記事の一つ、船津徹さんの「世界標準の子育て術」、今月のテーマは「日本帰国後に英語力を維持する方法」。簡単に言うと、「リーディング力が大事だよ」、という話だった。
シアトル&ポートランドの日本語情報「Lighthouse」バックナンバー 2019年12月号

ちょっと古い記事だけれど、これもとても興味深かったので、リンク貼っておきます。
「男の子は後半に伸びる」はウソか本当か。塾講師が考える「後半に強い子」はこんな子。 – 慧真館|神奈川県小田原市の公立上位校受験専門進学塾

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